JOURNAL
   

We Think

変化の時代に、
DES PRÉSが考えたこと。
VOL.2-2 Designer

2020.12.25 DES PRÉS / Designer

思いがけず世界に訪れた、
大きくて揺るぎない変化。
さりげなく、それでいて強く。
自分らしく過ごすことが求められるこの時代に、
ファッションブランドができること。
DES PRÉSに関わるさまざまな人々が、
今期のものづくりに込めた想い、
少しずつ、紐解いていきます。

Q5. コロナ禍によって考え方に変化はありましたか?

 あたりまえだった「普通の生活」が突然制限されて、ものごとの本質的な価値について、前よりも一層考えるようになりました。ずっと好きだったものを「どこに魅力を感じていたんだろう」って改めて考えてみたり「これって本当に必要なのかな、省くところは省いてもいいのかも」とか。根本的な価値観は変わっていないですが「物事の見方」が変わった部分もあります。

 世界中でいろいろな事が次々と起きる中で、少し立ち止まって、目の前で起きた出来事にどんな意味があるんだろうと考えてみる。すると自分たちを取り巻く「環境」に目を向けるということは外せないって思うようになりました。だから、当然服作りにおいてもかなり悩みました。素材選びはもちろんのこと、効率的なデザインを追求したり、無駄にしていることがないか改めて見直してみたり。だからといって、すべてを削ぎ落としてしまって果たして購入後の価値を保てるのか、といった葛藤もあります。さらに言えば、その一着には、真摯に服作りに関わる人々の労力と時間と見合った価格や価値があるのかという部分まで考えるべきではないだろうかと。それはイメージの集め方でも同じで、「これは無駄かな」とか「もう少し効率よくできるかも」といった視点で仕分けするようになってきました。そういう考え方は一見するとつまらないように思えるけれど、無駄なものを消去し残った少ないソースの中からバリエーションをつくっていくことで、今までとは違ったものが生まれる可能性もありますから。

 洋服の買い方も変わりました。自分の身の丈に合ったものを丁寧に探すようになりました。買い物する時は、必ずそのブランドのことを調べるようにしています。どういうモノづくりを志している会社なのかが知りたい。サスティナブルな理念を持ったブランドであるということも、私がモノを選ぶ上でとても大切なポイントの1つです。




Q6. 「服を買う」ということは?

 生活をする上でモノを買うということは、心を満たしてくれる行為に違いはないですが、その内容の質が今後もっと変化していくのではないかと感じています。だからこそ大切なのは「買っていただいたその後」のことまで考えることなのではないでしょうか。「買っていただいてうれしい」で終わってしまうのは、無責任な感じがしてしまう。だったら、できるだけお客さまに長く着ていただくためにはどうしたらいいかってことを、真摯に考え抜きたいなと思います。シンプルで機能的であることだけではなく、愛着のわくようなちょっとしたデザインや、外しの要素を加えてみたり。
 例えばこのジャケット。これまでDES PRÉSにありそうでなかったギャバ素材がとても気に入っています。ドレープ感があって、着心地もいい。お客さまが自分のクローゼットの中にすっと入れて、ずっと取っておきたくなる、そんな服を意識するようにしています。

201225.700*1030thu.jpg


Q7. 一番嬉しい瞬間はどんな時ですか?

 街で自分のデザインした服を着た人を見かけた時が一番嬉しいです。
ブランドの発信するブツ撮りのビジュアルがいくら素敵だったとしても、着心地が悪かったらお客さまには買っていただけない。だからSNSでお客さまが「DES PRÉS」とタグづけしていただけると、本当に嬉しいです。「ああ、この服を買ってくれたんだ!」って。なにより、それぞれのお客さまが、それぞれの自由な発想で着ていただけていることが嬉しい。私たちは、洋服そのものではなく、着る人の物語が主体でなくては意味がないと思っています。
 ものづくりを探求していると、ついプロダクトを主語に考えてしまう時もあるんですが、そんな時はショップに届いたお客さまの意見を参考にするようにしています。「着てみたら少し生地重かったかもしれない」とか。そうして次は、その部分を改良する。私自身もひとりよがりな服は苦手だから、課題が見つかれば、いろんな人の意見を取り入れてディテールを変えてしまうこともあります。このブランドに関わる人々はみんな「どうしたらいいだろう?」って探究心がとにかく強い。だからメンバー同士、常にコミュニケーションを取るようにしています。ひとりではなくチームで、お互いにアイデアや刺激をしながらデザインを仕上げていっています。服作りは、1人では絶対にできないものだと思います。逆に、全部1人でやらなきゃいけないのだとしたら、つまらなさそうですしね。情熱的な人々に囲まれた今の環境は、私にとってとてもよかったと思っています。人に恵まれていますね、本当に。




Q8. DES PRÉSの未来像を教えてください。

 DES PRÉSは「数年後にはこうなる!」とゴールをはっきり決めて進んでいくブランドではなく、時代に合わせてしなやかに常に変化し続けるブランドだと思っています。だとすれば未来よりも「今、この瞬間」こそが大切なんだと思います。だから私自身も自分が「今」感じている事象にできる限り集中して、そこから感じた「ムード」と「ポジティブな気分」をできる限りまっすぐに表現し続けていたい。こうあるべきではなく、着る人が自由に着方を決める、そんな余白がある服作りをしていきたいと思っています。




To be continued
RELATED ARTICLES
VIEW MORE